W杯出場に向けた、サウジアラビアとの重要な一戦。鍵を握る「中盤の構え方」

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第147回

W杯出場に向けた、サウジアラビアとの重要な一戦。鍵を握る「中盤の構え方」

By 清水 英斗 ・ 2021.9.29

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10月7日、12日に行われるカタールW杯アジア最終予選は、出場権を争う直接のライバルであるサウジアラビア、オーストラリアとの対戦だ。いわゆるシックス・ポインター。勝ち点6の価値を持つ試合が組まれている。


初戦でオマーンに敗れた日本としては、2連勝した相手に土を付けつつ、勝ち点を伸ばさなければならない。1勝1分け、勝ち点4以上がノルマだろう。


1戦目はアウェーのサウジアラビア戦だ。中東も10月に入れば、気温は幾らか下がるが、日中の最高気温は約30度なので、深い夜時間のキックオフならともかく、夕方くらいだと気温が下がり切らないかもしれない。


時間次第だが、日本も合流後すぐに試合をするので、ハイプレス一辺倒では体力が持たない危険性がある。


そこでポイントになるのが、どう中盤で構えるかだ。


サウジアラビアは、中盤のポゼッションでボランチやサイドハーフが前を向くと、サイドバックが勢い良くオーバーラップして来るのが特徴的だ。サイドでスピードに乗らせると後手に回りかねないので、その対応が鍵を握る。 


決定力に乏しいサウジ

 

一つの方針は、ある程度自陣のスペースを埋めて、待ち構えること。サウジアラビアは2年半前のアジアカップで日本が対戦したときも、この最終予選のベトナム戦やオマーン戦もそうだったが、圧倒的に攻め立ててチャンスを作る割には決定力が乏しい。スコアをキープするためには、守備固めも有効だ。


日本のメンバーを見ると、今回はサイドバックとセンターバックを兼ねる橋岡大樹が入っており、枚数的には3バックの想定もありそう。


実際に9月は橋岡と似た役回りとして佐々木翔が入っていたので、3バックと4バックの併用はおそらく最初から選択肢にある。そうでなければ、DFに9人も招集はしないだろう。


9月のオマーンと中国との対戦で3バックを使う機会はなかったが、サウジアラビアは前方にスペースを見つければ、すぐにスピードに乗って仕掛けてくる。


特にサイドから勢いを増すだけに、日本の対応としては両サイドを下げて、あらかじめ5バックでスペースを埋めて立ち、相手をスピードに乗らせず、前向きに守備をするのは有効な選択肢だ。


センターバックを3枚にする場合の序列は、吉田麻也と冨安健洋に加えて、植田直通か板倉滉がファーストチョイスで、場合によっては酒井宏樹を回すかもしれない。現時点で橋岡の序列は低いが、アクシデントが重なれば出番もある。そのための招集だろう。


インターセプトからカウンターを狙いたい


もう一つ、より積極的に考えたいのは、中盤でプレッシャーをかけ、サウジアラビアのポゼッションを引っ掛けることだ。


両サイドバックがスピードに乗ってくるのは脅威的だが、真ん中でインターセプトに成功すれば、サイドで背後を取って攻めることができる。実際、ベトナム戦やオマーン戦では2バック状態でカウンターを受けるシーンが何度もあったので、日本も狙いたいポイントだ。


その役割を誰に任せるか。


正直、韋駄天アタッカーの伊東純也が出場停止で、古橋亨梧も怪我で欠くのは痛い。となれば、前回は負傷の影響もあって招集されなかった浅野拓磨か、あるいは東京五輪のメキシコ戦でも、鋭い飛び出しからチャンスを作った堂安律に期待したい。


そのためにはまず、サウジアラビアに対してミドルプレスを成功させなければならない。良い攻撃は良い守備から。センターバックやボランチを追い詰めるところまでは、おそらく難なく実践できるが、サウジアラビアはポゼッションが詰まると、2列目がすき間に下りて起点を作る。


この選手の動きを捉えなければ、プレッシングがはまらず、結局下がってスピードを吸収するしかなくなる。中盤のバランスは大事だ。遠藤航や守田英正のダブルボランチに加え、両サイドハーフもコンパクトに保ち、プレスをかけたいところだ。


良い守備は良い攻撃から


気温次第では体力的に厳しい試合になる可能性が高いので、攻撃面でポゼッションを積極的に握り、ゲームコントロールすることも必要になる。


森保監督は「良い攻撃は良い守備から」と繰り返すが、どちらかと言えば、今の日本に足りないのは、「良い守備は良い攻撃から」のほうだろう。バランスの良い、整理された攻撃を見せてほしい。


サウジアラビアで行われるアウェー戦には、収容数の約6割、2~3万人の観客が入ることが予想される。


中国もオーストラリアも第三国開催と、コロナ禍ではバチバチのアウェー戦を見る機会が少なくなったが、サウジアラビア戦は久々に、血湧き肉躍る試合になりそうだ。


とにかく、勝ち点をもぎ取ろう。(文・清水英斗)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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